狼神話 [ホーム]
 柳ケ瀬八幡(はちまん)神社 

 滋賀県の琵琶湖東岸から北陸に至る往還、北国街道の栃ノ木峠の登り口で、旧幕時代には関所の置かれていた宿場町、柳ケ瀬に鎮座するお社です。鎮座の地から見て、この神社は栃ノ木峠を越える人々の安全を祈願する山口神社だったと思われます。この神社には次のような伝説が伝わっています。

 その昔、六部とも侍とも伝えられていますが、旅人が栃ノ木峠を越えようとして日が暮れ、野宿をしていると狼の群れに襲われました。急いで手近かな木に登り難を避けようとしますが、狼は順番に肩車をして狼梯子を作り、木の上の旅人に迫って来ます。しかし、あと少しで狼

の爪は旅人に届きません。それに気づいた狼たちは「太郎が母を呼んで来い」と言いました。すると、どこからともなくひときわ大きな狼が現われて、下から旅人を伺っています。あれが太郎が母かと見ていると、その狼は仲間の狼梯子をつたってその背中を駆け上がり旅人に襲いかかります。護身用の刀を振り回すと、幸いどこかに当ったらしく大狼は悲鳴を上げて転げ落ち、狼梯子も崩れて狼たちは逃げ去りました。

 日が昇って、旅人は峠下の柳ケ瀬に入りましたが、この宿場の太郎という人の年老いた母親が、怪我をして臥せっているという話を聞きます。もしや昨晩の狼の言ったのはこの事かと思い、確かめてみれば老母を殺して狼がすり替わっていたことが明らかになります。

 正体を現わした狼は、一説では山に逃げたとされ、また別の説では村人に殺されたとされています。村人は相談のうえ、太郎が母の像と狼像を刻んで、洞寿院の坊さんに供養をしてもらい柳ケ瀬の八幡神社に安置することにしました。 それ以来、狼の被害はなくなったそうです。 柳ヶ瀬では今でも太郎が母を祭る行事が諸頭(もろとう)組で行われています。

 この伝説は「鍛冶屋の婆」の類話で、同様の民話や伝説は全国に分布していますが、特定の寺社とむすびつきが明白で狼の像が伝わっている例は非常に珍しいと言えます。

祭神

 誉田別命(ほんだわけのみこと)

御利益

 五穀豊穣、郷鎮護、道中安全など

祭礼

 1月2日 オコナイ

名物

 余呉湖のワカサギ

所在地

 滋賀県伊香郡余呉町柳ケ瀬

アクセス

 JR木之本駅より余呉町タウンバスで「柳ケ瀬」下車徒歩5分